協働ロボットの効率性や操作性などを一層向上させるための手段の1つとして、「音声認識機能」を活用したシステムや音声認識機能を搭載した協働ロボットの導入といった方法も有効です。このページでは、音声認識機能の仕組みや、協働ロボットと音声認識機能を併用するメリット、また実際の導入事例などをまとめて紹介していますので参考にしてください。
音声認識とは、文字通りユーザーの発した音声をシステムが認識し、それをテキストに変換した上で、協働ロボットなどの製品への命令や指示として出力するという一連のプロセスを指しています。
音声認識を構成するためには、音声を集音するマイク、集音された音声を言語化・文章化するための変換システム、そしてそれをオーダーとして作業へ反映させるアプリケーションといった一連のデバイスやソフトウェアが必要です。
協働ロボットへ音声認識機能を活用する場合、ロボット自体にマイクや音声認識システムを搭載したり、外部システムとして用意した音声認識デバイスを接続したりする方法が考えられます。
音声認識機能は非常に便利なシステムである反面、実用化にはユーザーが発した音声を正しく認識してオーダーへ変換する正確性が重要になります。
そのため音声認識機能には人工知能(AI)技術が積極的に活用されており、様々なパターンの音声を認識して機械学習を行うことにより、ユーザーごとの口調や音量、異言語といった変化にも対応しやすくなることがポイントです。
音声認識機能を搭載したデバイスやシステムはすでに様々な分野で実用化されており、例えばスマートフォンに搭載されている音声アシスタント機能や、医療現場や介護現場において患者や要介護者の音声に反応する機器、ユーザーの声によって家電や室内設備を操作するスマートホームといったものが挙げられます。
また、インバウンド観光客向けの自動翻訳機といったデバイスにも音声認識機能が活用されています。
協働ロボットへ音声認識機能を搭載する場合、まずユーザーがロボットへ音声によって指示を出せることが強みです。これによりユーザーがロボットの操作パネルへ触れられないような状況でも問題なく指示を出し、作業を中断することなく生産工程を維持できるようになります。
また、様々なオーダーをあらかじめ登録しておくことで、幅広い利用方法を考えられることもポイントです。
ハンズフリー操作によって作業の効率化や生産性を向上させれば、結果的にコストパフォーマンスも高められることは重要です。また、例えば何らかの事情によって移動が困難になっている人や四肢に障害を持っている人でも、音声認識機能を活用することで他の人と同様に作業へ参加できるチャンスが広がります。
人間が命令を声に出してロボットへ指示を出せるようになれば、より直感的な操作でロボットを扱えるようになり、協働ロボットに対する作業員の苦手意識や緊張感を緩和できることも魅力の1つでしょう。
マイクや集音器など音声認識モジュールとロボット制御システムを連携させて、ユーザーの指示が適切に命令として反映される環境を構築しなければなりません。
事前に指定のワードを音声コマンドとして登録していても、話す人の声の高低や性別、年齢、イントネーションなどの条件で正確に音声を認識できない可能性があります。
そのためAIの機械学習などを活用し、様々な音声パターンを学習させて、あらゆる音声に対応できるよう継続的な品質向上を目指していくことが肝要です。
音声による指示・命令を認識できたとしても、それが実際の作業として反映されるまでにタイムラグが生じては作業効率もむしろ低下しかねません。
そのため音声認識機能ではリアルタイム処理による即時応答や作業反映といったスムーズさが求められます。
製造業の組み立て工程において、作業員の音声指示によるロボット操作が活用されています。
参照元:日本ノーベル株式会社公式HP(https://www.jnovel.co.jp/news/2024/pr20240422-qc9.html)
医療機器へ音声認識を採用することで、医師や患者のスムーズなコミュニケーションや作業をサポートできることも魅力です。
参照元:日本ノーベル株式会社公式HP(https://www.jnovel.co.jp/news/2024/pr20240422-qc9.html)
レストランで顧客のオーダーを音声認識で受け取り、フロア業務の省力化といったニーズを叶えます。
参照元:日本ノーベル株式会社公式HP(https://www.jnovel.co.jp/news/2024/pr20240422-qc9.html)
音声の個人差による認識誤差を軽減すると同時に、日本語だけでなく多言語のオーダーに対応させることで、外国人労働者の積極的な活用に貢献します。
製造現場では様々な音が発生しており、騒音やノイズのある環境でも正確にユーザーの命令だけを音声として認識できるノイズキャンセリング技術の向上も重要です。
様々な命令や指示を音声によって発してしまうからこそ、その内容へのアクセス権を有しない作業員や外部の人間がいるような環境において、情報の保護やプライバシーへの配慮といった点にも注意しなければなりません。
協働ロボットや音声認識機能を実際に活用するのは作業員であり、それぞれの作業員への教育やトラブル発生時の対応マニュアルなどを準備しておくことが大切です。