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協働ロボットの導入コストとROI(投資回収期間)

目次

協働ロボットを導入する場合、本体の導入コストやその他のコストを総合的に考慮した上で、どの程度の期間をかければ投資コストを回収して利益を出せるかという「ROI(投資回収期間)」を検討することが大切です。

協働ロボットの導入や維持にかかるコストと、ROI(投資回収期間)の計算方法や考え方についてまとめました。

協働ロボットとROI(投資回収期間)

ROI(Return On Investment:投資回収期間・投資回収率)とは、投資したコストに対して得られる利益を示す指標であり、またその投資による利益でコストの回収にかかる期間を指すものです。日本語で「費用対効果」として呼ばれることもあるでしょう。

協働ロボットの導入にかかる費用は、ロボット本体の購入価格に加えて周辺装置や関連機器、システムインテグレーター(SIer)へ支払う費用、あるいは従業員の研修コストなど様々なものが考えられます。また、それらの費用は一般に明示されていない場合も多く、実際にどの程度の費用がかかるのか見積で確認することは重要です。

一方、設備や機器には税制上の減価償却期間が定められており、例えば物流設備として使用されるARMロボットは耐用年数が7年となります。そのため節税対策も考慮すれば、原則としてROIは耐用年数以下で納められることが重要です。

検討中の協働ロボットのROIが耐用年数を超過する場合、協働ロボットの導入について設備投資としての価値や内容を再検討することが大切です。

ROIの計算方法

簡単なROIの計算方法としては、投資によって得られる年間利益を投資額で割ったものに、100を乗算するというものがあります。

なお、この利益は協働ロボットの導入によって増加する売上から、その維持費などのコストを差し引きしたものとなる点に注意してください。

協働ロボットの導入費用

協働ロボットの導入費用や投資のイニシャルコストとしては様々な構成要素を考えなければなりません。

ロボット本体

協働ロボットの導入費用として最大のものはロボット本体の購入価格です。

どのようなロボットを導入するのか、目的やサイズ、機能など様々な条件で金額が変わりますが、例えば小型モデルであれば200万円から500万円程度、大型モデルであれば800万円から数千万円になることも少なくありません。

また小型モデルであっても既製モデルでなくオーダーメイドであればさらに費用が高額になることもあります。

設置費用

購入したロボットを設置して稼働させるためには、設置工事や環境整備を行わなければなりません。運用に適した初期プログラミング・ロボットティーチングや周辺機器・関連装置の準備など、設置コストとして考えるべき要素は複数あります

その他の初期費用

システムのライセンス契約に伴う費用や従業員の研修やトレーニングにかかる費用、マニュアルの製作費など初期費用としてかかるその他の費用についても計上することが必要です。

協働ロボットのランニングコスト

協働ロボットは導入すれば終わりというものでなく、適切に運用していくための維持費用(ランニングコスト)が発生します。ランニングコストは協働ロボットのメリットから差し引きしてROIへ反映させるため、これらについても適切なシミュレーションが不可欠です。

メンテナンス費用

協働ロボットの安定した運用に定期的なメンテナンスや保守管理は欠かせません。なお年に1~2回の定期点検をメーカーに依頼する場合、都度払いだけでなく、あらかじめ保守管理サポートなどをサブスクリプション契約しておくことも可能です。

また高額な設備については保険をかけたり、点検・修理の時に発生した部品交換などの実費がかかったりすることもあるでしょう。

電気代(光熱費)

協働ロボットを使用する場合は電気代がかかるため、それもランニングコストへ計上しなければなりません。また水やガス、燃料を使用する場合はそれらの光熱費も考える必要があります。

消耗品・周辺機器の交換費

専門家による定期メンテナンスだけでなく、日常的な管理として行う部品交換や消耗品の交換などにも費用がかかります。

ROI(投資回収期間)の計算モデル

ここでは協働ロボットの導入コストなどからROIを試算するモデル例を紹介しますので参考にしてください。

基本式

計算例

ROI計算の重要ポイント

ROI最適化戦略

スモールスタート

いきなり大規模購入や高額機の導入を検討せず、まずは小規模な範囲での活用から始めることが大切です。

レンタル/リースの活用

ロボットの活用期間が限定的な場合や初期投資額を抑えたい場合、レンタルやリースによる活用も1つの方法です。

補助金制度の活用

初期コストを抑える方法として補助金や助成金といった支援制度の活用は見逃せません。

ROIの注意点

ROIを事前シミュレーションによって算出しても、実際にロボットを運用していく上で様々な想定外が生じることは珍しくありません。また省力化や省人化による恩恵は経済的な面だけでなく、従業員のモチベーションやメンタル管理、健康面での支援効果など総合的に考える評価体制が重要です。

まとめ

協働ロボットには様々な導入メリットがありますが、その費用対効果を最大限に追求するためには事前のシミュレーションやコスト計算が不可欠です。

協働ロボット導入は企業としての課題解決策というだけでなく、将来の成長を見据えた設備投資でもあり、その投資の本質的価値を考える上で長期的な視野によるROIの計算やバランスの検証が欠かせません

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