働き方改革関連法の施行に伴って、物流業界などの労働力が減少する2024年問題が取り沙汰されましたが、労働者の高齢化によって労働力の不足が深刻化する2030年問題も無視できません。
2024年問題や2030年問題のそれぞれの解決に向けて協働ロボットが果たす役割を解説します。
2024年問題は働き方改革関連法の施行によって労働者の長時間労働が規制され、労働環境の改善が進められた結果、例えば長距離トラックのドライバーなどの労働時間が制限され、労働力の確保がますます困難になるといった社会的課題です。
2024年問題は特に物流業界などで注目されましたが、結果としてロジスティクスが弱体化し、小売業やサービス業を含めて日本全国のあらゆる業界へ影響を及ぼすことが重要です。
2024年問題の発生は法改正によって確定していた事柄であり、物流業界の大手各社は自動機の導入や倉庫のオートメーション化など、様々な方法で労働力の確保や業務効率化を目指しています。また、大規模改修やFA化(ファクトリーオートメーション化)が困難な中小事業者であっても、在庫管理や搬送業務などを一部自動化したり、協働ロボットを導入したりと取り組みを進めています。
2024年問題は法改正に伴う人手不足でしたが、2030年問題は労働者の高齢化によって、そもそも働ける人口が減少してしまうという問題です。少子高齢化が深刻化している日本では若年層より高齢者が多い現状で、熟練者の定年退職や技術者の引退が進み、毎年労働者の減少や技術の途絶が起きています。
2030年以降はその影響がいよいよ大きくなり、日本経済に深刻なリスクをもたらすと懸念されています。
2030年問題はそもそも労働人口が減ってしまうことによる労働力不足であり、仮に残業規制を撤廃して長時間労働を容認したとしても安易に解消することができません。また人の加齢は止めることができず、高齢労働者の本人が働きたいと望んでも業務的に困難なケースも増えるでしょう。
協働ロボットは人の代わりに、人と協働して活躍するシステムであり、ロボットの導入で人手不足をカバーしたり、負担の大きな作業をロボットが代行して労働者の負担を軽減し働ける期間を延長したりすることが可能です。
協働ロボットは人とロボットが同じ生産現場で連携しながら働けるシステムです。つまり人の手による仕事とロボットアームによる仕事、それぞれのメリットを活かせる点が協働ロボット導入の利点です。
2024年問題や2030年問題といった社会的課題へ直面する中、例えばロボットが反復作業や重量物の運搬などを担当し、経験を積んだ人が判断したり創造したりするといった、人と機械の役割分担による新しい労働環境の構築が、将来の日本社会を支える柱となると期待されています。