協働ロボットを導入する際には「可搬重量」や「安全対策」「ティーチング機能」など、目的に応じて押さえるべきポイントがあります。ここでは、協働ロボットの基礎知識と選び方を解説していきます。協働ロボットの選定に役立ててみてください。
柵や囲いを設置せずに、人間と同じ空間で作業ができる協働ロボット。しかし、導入にあたっては、リスクアセスメントをはじめ、安全対策が欠かせません。ユーザーに求められる安全対策をはじめ、協働ロボットメーカーや取り扱い代理店における安全上の取り組みについても解説します。
協働ロボットは、ロボットアームで持ち上げることができる荷物の重さ、すなわち「可搬重量」が定められています。とりわけ、可搬重量は対応できる業務内容に関わる重要なポイントです。可搬重量別にそれぞれのロボットの特徴を紹介します。
協働ロボットを導入しても、現場が使いこなすことができなければ意味がありません。ロボット初心者でも操作ができるティーチング機能やプログラミング機能について解説します。自社に導入すべき協働ロボットがわかります。
協働ロボットの精度は、作業の仕上がりに直結します。
単純な搬送作業なら問題ないかもしれませんが、レーザー溶接やレーザー切断、バリ取りといった高い品質を求められる作業の場合、導入の成否に関わります。トルクセンサーや繰り返し精度をチェックしましょう。
「スカラロボット」は、別名「水平多関節ロボット」とも呼ばれ、水平方向における流れ作業を得意としています。複雑な作業には対応できませんが、導入コストの低さや高速・高精度な作業に強みがあるため、目的が合えば使いやすい協働ロボットになります。
2本のロボットアームを備えた「双腕協働ロボット」であれば、1台でも複雑な作業に対応が可能です。人間の手の動きをトレースする自動化作業では、大幅な省人化も期待できるでしょう。双腕協働ロボットの注目機種も紹介しています。
産業ロボットと比較すれば、協働ロボットは大幅な小型化が実現されています。人間と同じ作業空間で稼働するには、小型化こそ重要なポイントです。小型協働ロボットの特徴やメリットをはじめ、注目の機種についても紹介します。
産業用ロボットは人の代わりに単純作業を行なうことを目的に作られており、自動車の生産ラインのような広いスペースでのみ稼働できることや、作業員の安全を確保するために柵を設置する必要があるなど、いわば人との作業から分離して稼働するというものでした。
一方で、人手不足やより細かい作業などへのニーズの高まりによって、中小規模の製造においてもロボット導入が求められるようになります。その結果、技術革新や法改正によってロボットの小型化が進み、人と同じスペースで協働作業することを前提としたロボットが開発されました。これが「協働ロボット」です。
人手不足の解消や人件費の削減が期待されている協働ロボットですが、どのような仕事に対応できるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。協働ロボットが対応できる仕事には、主に次のようなものがあげられます。
協働ロボットは周辺機器が充実しており、ハンドやアプリケーションとの組み合わせ次第で多種多様な仕事に対応することができます。協働ロボットの持つ柔軟性が、幅広い業界での導入が進んでいる理由です。ただし、何でもかんでも自動化するとなると高額なコストがかかるため、どの作業をロボットに任せるかは慎重に検討する必要があります。
協働ロボットのハンドとは、人間の手のような役割をする部品のことです。ハンドの種類はさまざまで、人間の手のように5本指をしたものや吸着するタイプ、UFOキャッチャーのようなアームなどがあり。ワークの材質や重さ、表面の状態などに応じて最適なハンドを選ぶことが重要です。
これまで産業用ロボットには安全柵を設置していましたが、安全柵なしで人と作業を行える協働ロボットにはセンサーが取り付けられており、人の接近・接触やロボットの作業スピードを感知してスピード調整を実施します。センサーにはいくつか種類があり、センサーの搭載されていないロボットにも後付けできるタイプも販売されています。
協働ロボットの作業中(通電中)は励磁作動形ブレーキが制御を行っています。しかし、作業中に通電がオフになると、急停止したアームが動くなどによって思わぬケガや事故のリスクも。そのため協働ロボットには無励磁作動形ブレーキが備わっており、通電オフでもロボットの関節部分の動きを制御しています。
産業用ロボットは「人に代わって作業を行う」もの。重労働や危険な作業も任せられますが、安全柵や広い設置スペースが必要です。
一方協働ロボットは「人と一緒に作業を行う」よう設計されているため、安全柵が不要で省スペースに設置できます。また、協働ロボットはプログラミングが簡単なため、レイアウト変更にも対応可能。多品種・少量生産の現場におすすめです。
産業用ロボットは大型ラインでの同品種の大量生産が中心、且つ安全柵の設置が必要であるのに対し、協働ロボットは比較的小型で設置場所を問わず安全柵の設置も不要。さらに繊細な作業や変種変量生産に対応できる点や、各ロボットに対してプログラミングやティーチングができる点も大きな違いといえるでしょう。
協働ロボットを導入するメリットとして、まずそれまで手作業で行っていた作業の一部をロボットが担ってくれることで人手不足の解消・人件費の削減に繋がります。また、人の手によって作られる製品には少なからずばらつきが出てしまいますが、ロボットであればプログラムされた動きを一定の品質を保ちながら作業できるため品質が安定し、さらに単純作業をロボットに任せてその分より細かい作業を手作業で行なうことで、生産性の向上も期待できます。
ただし、協働ロボットの導入にはデメリットも存在します。まず協働ロボットはあくまで人との協業・人の作業のサポートを前提としていることから、完全な自動化・無人化は難しく、また調整やメンテナンス、不具合や誤作動が発生した際の対応ができる専門知識をもったスタッフ、さらにロボットの動作のプログラミングを行なうティーチングができるスタッフが不可欠であり、これらの人材の育成・確保も課題となります。
協働ロボットの導入までの主な流れは次の通りです。
協働ロボットを導入するにあたって、まずは現場の作業工程を見直して課題やニーズを洗い出します。課題・ニーズを明確化したら、解決するために自動化したい作業を検討しましょう。
次にロボットの導入から運用までを含めたプロジェクト・マネジメント計画を作成し、ロボットSlerに相談しながら現場の課題・ニーズに最適なロボットを選定します。ロボット設計ではロボット本体だけでなく、周辺機器や生産ライン全体を設計。また、作業員の安全を確保するために、ロボット導入のリスクを踏まえた安全策を検討することも重要です。
また、ロボット導入の効果を最大限に発揮できるように、前後の工程や協働する作業員の動きを考慮しながら周辺環境を整えていきます。周辺設計が完了したら、ロボットの動作を制御するプログラムやセンサーの追加などを行ない、実際の生産ラインに組み込みましょう。
現場に導入したら完了ではなく、現場での稼働状況を確認しながら調整を行なって最適化していく必要があります。
協働ロボットの導入には様々な費用がかかります。ロボット本体の価格はもちろん、架台やセンサなどロボット関連装置費用、ベルトコンベア、安全柵など周辺設備機器費用、協働ロボット導入のコンサルを依頼するシステムインテグレータ費用など、総額は膨大になる可能性があります。ロボットの導入に際しては、綿密なコスト計算が不可欠です。
協働ロボットを安全に使用するためには、メーカー、ユーザーの双方による相互の安全管理が必要です。労働安全衛生規則やISO10218-1、ISO10218-2、ISO/TS15066など協働ロボットの安全対策に関する法令と規格を遵守するのはもちろん、機械の動作制限、危険源の同定、リスクレベルの見積り・評価といったリスクアセスメントの実施も必須です。
協働ロボットは、省人化や作業の効率化に貢献するロボットシステムですが、導入する際は起こりうる事故リスクについても目を向ける必要があります。協働ロボットを安全に運用するには、自社で起こりやすい事故リスクを同定し、対策を考えることが大切です。
協働ロボットはメンテナンスまで考えた導入検討が必要です。労働安全衛生法で安全基準が決められているからではなく、コストと従業員の安全を守るためにも考えておくべきでしょう。
教育して担当者を育てる方法もありますが、購入から維持管理まで対応してくれるメーカーや代理店から購入するのも有効です。対象ロボットの専門知識と技術対応力を保有しています。
協働ロボットは、ロボットに動作命令を覚えさせる「ティーチング(教示作業)」を行うことにより、命令された通りに動くようになります。オフラインティーチング、プレイバック式ティーチング、ダイレクトティーチング、AIによる自動ティーチングなどいくつかの種類がありますが、この中でより操作を容易にするために役立つのがダイレクトティーチングです。
産業用ロボットや協働ロボットを導入するには、現場毎の課題や環境に応じた最適な機種・システムの選定が重要であり、専門家であるロボットSIerのサポートが必須といえます。「ロボットに命を吹き込む仕事」とも言われるロボットSIerについて、その役割や導入メリット、導入プロセスなどを紹介しています。
自動車産業や電気機器産業を中心に導入されてきた産業用ロボットですが、近年、規制緩和や技術革新など様々な理由によって、不向きとされてきた食品製造業やコスト面で導入が難しかった中小企業の協働ロボット導入が進んでいます。人との共同作業を前提とした協働ロボットが導入されはじめている理由や背景について調べました。
ロボット産業の市場は、2020年はコロナウイルスの影響を受けたものの2021年は回復基調にあり、2022〜23年には2019年のレベルに戻ると予想。とりわけ導入ハードルの低さなど多くのメリットを有する協働ロボットは、産業用ロボット市場における新しい領域として注目を集めています。そんな協働ロボット市場の今後の見通しについて考察しました。
「協働ロボットを導入してみたい!でも、費用が高い…」「本格的な導入前に性能をしっかり試したい」という企業は多いでしょう。そこで、協働ロボットのレンタルを利用するのがおすすめ。
最短1日~1年間程度のレンタルが可能であり、繁忙期や展示会などのイベント時に活用できます。レンタルなら新しい機種を試すこともできるため、まずは費用を抑えて協働ロボットを使ってみたい!という場合にもおすすめです。
※引用元:Doosan Robotics公式HP(https://www.cobot-smx.jp/products/m0609.html)
※引用元:ユニバーサルロボット公式HP(https://www.universal-robots.com/ja/ユニバーサルロボットについて/ニュースセンター/ユニバーサルロボット-smc社の協働ロボット用真空グリッパユニットを-urplus製品として認証/)
※引用元:Techman Robot公式HP(https://www.tm-robot.com/ja/heavy-payload/)
※選出基準(調査時期:2021年7月、編集チーム調べ)
「性能」:汎用性の高さを維持できる100kg以下の協働ロボットのうち、最大可搬重量・最大リーチ数を誇っている点。
「シェア」:世界シェアNo.1※1の協働ロボットである点。
「簡易性」:カメラ内蔵型協働ロボットを世界で初めて開発※2し、視覚による操作性を実現した協働ロボットである点。
※1参照元:ロボットによる社会変革推進会議2019年調査[PDF](https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/robot_shakaihenkaku/pdf/20190724_report_01.pdf)
※2参照元:SSI公式HP(https://ssi-robot.co.jp/tm-robot/)