ABBはスイスのチューリッヒに本拠を構えるメーカーです。特徴的な14軸の動作性能を持つ双腕型の協働ロボットYuMi、単腕YuMi、可搬重量5~12kgのGoFa、産業用ロボット同等の速度で稼働するSWIFTIという4種類の協働ロボットを展開しています。
ABBの協働ロボットの導入前には、ロボット実機を用いた事前検証に加え、「RobotStudio®」を用いた生産性の高精度な事前予測が可能になっています。
モデル | 可搬重量 | 最大TCP速度 | リーチ長 | 位置繰り返し精度 | 軸数 | マニプレータの質量 | コントローラーの質量 |
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YuMi (Dual Arm:IRB 14000) |
0.5kg (各腕) |
1.5m/s (各腕) |
560㎜ | 0.02㎜ | 7(各腕) | 38kg | - |
YuMi (Single Arm:IRB 14050) |
0.5kg | 1.5m/s | 559㎜ | 0.02㎜ | 7 | 9.48kg | 22kg |
GoFa5 (CRB 15000-5) |
5kg | 2.2m/s | 手首950㎜/ フランジ1050㎜ |
0.02㎜ | 6 | 28kg | 19kg |
GoFa10 (CRB 15000-10) |
10kg | 2m/s | 手首1520㎜/ フランジ1620㎜ |
0.02㎜ | 6 | 51kg | 19kg |
GoFa12 (CRB 15000-12) |
12kg | 2m/s | 手首1270㎜/ フランジ1370㎜ |
0.02㎜ | 6 | 48kg | 19kg |
SWIFTI (CRB 1100) |
4kg | 5m/s | 580㎜ | 0.01㎜ | 6 | 21kg | 25kg |
SWIFTI (CRB 1300) |
7~11kg | 6.2m/s | 900~1400㎜ | 0.02㎜ | 6 | 75~79kg | 25kg |
ABBの協働ロボットは、他社と比べたときに位置繰り返し精度が優れていること、TCP速度が速いことが大きな特徴です。素早く正確という運動性能の高さから、導入により「生産性向上」を期待する方に向いているといえるでしょう。
プログラミングは、産業用ロボットでも採用されている手法に加えて、ブロックリーと呼ばれる技術を採用した、ABB独自の「ウィザードイージープログラミングツール」で行います。スマートフォンを使うのと同じようにドラッグアンドドロップで必要な動作を指定できるため、プログラミングの知識がない人でも簡単に使えます。
こうした特徴から、ABBの協働ロボットは初心者向けとしてはもちろん、産業用ロボット並みの複雑な動作を実現させることが可能で用途を選ばないロボットになっています。繰り返しになりますが、「素早く正確」であることも強みであり、これらのスペックの高さを事前検証することができるため、十分に検討し安心したうえで導入ができます。ぜひ一度、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
業務の効率化を図るのなら、目的に適したロボットの導入が重要です。当サイトでは、人的リソース確保や生産性向上につながる、おすすめの協働ロボットを紹介しています。何を選べば良いかわからない…という方は、ぜひ参考にしてください。
人間との代替を目的として開発されたロボットです。片腕7軸あることで人の動きを模すことが可能になっています。2本の腕を1つのコントローラーで制御しているため、両腕を連動した動作も得意なロボットです。
7軸のマグネシウム合金製アームは、6軸ロボットよりも柔軟性が高く、1つの点に対し様々な腕の形(アーム姿勢)を取る事が可能になっています。また、外部コントローラが採用されたことでロボットアームの設置面積が大幅に縮小され、狭いスペースや様々な設置方法(天吊り、壁掛け等)も可能になっています。
5~12kgの可搬重量を持つGoFaは、マテリアルハンドリング、機械加工や部品の組立て、梱包と検査、ラボの自動化などに適しています。6つの関節それぞれにインテリジェントセンサを搭載することで、位置、トルクの検出を可能にしています。このセンサを用いて、ユーザーが指定した特定の負荷を検知してロボットを停止したり、力覚を用いた加工や組み立たりも実現しています。
SWIFTIは産業用ロボットと同等性能を持たせつつ、安全柵なしで運用することが可能なロボットです。自己位置監視オプション「safeMove」が標準搭載されており、安全機器と併用することで安全柵レスの実現が可能です。
世界有数のアルミプロファイルメーカー「SUS株式会社」の事例です。SUS社は、世界各地へと販路を拡げる中で海外工場で部品類を製造してきましたが、品質やリードタイムの改善および生産技術力の向上を図るため、主要部品の国内生産回帰を決断。
しかし、月間80万個の生産量に対して11台の組立機が必要=11人の作業者を安定的に確保しなければならないなど課題に直面し、ABBの双腕型協働ロボットであるYuMiを検討することに。
まずはABBの実機検証施設であり、YuMiを熟知したエキスパートが常駐する「アプリケーション・センター 東日本」にて、実機による簡易的な組み立て試験から着手。また、RobotStudioを用いたシミュレーションにて、実際のシステムレイアウトを精密に再現し検証、導入に至りました。
事前検証により適切な導入ができたこともあり、「少ない人数で夜間の稼働が叶った」「組立機の稼働台数を11台から5台まで減らすことができた」「タクトタイムを5秒から4.5秒に減らせた」「生産性を20%向上できた」など、様々な結果を得ることができました。作業者の熟練度によってばらつきがあった生産量も安定し、より精度の高い生産予測や調整が可能になったとのことです。
各種精密加工、関連する周辺製品を設計する「株式会社 光南」では、製造における省人化と、作業者の熟練度に左右されない生産性の担保を課題としていました。将来的な人手不足の進展も鑑み、ロボットなどを活用した自動化の検討を決断していたところ、双腕型協働ロボットのYuMiに着目。
当初は単腕型のロボットを検討していたものの、月産10,000〜15,000個の生産量への対応を考えたときに「双腕型」協働ロボットのYuMiが候補に挙がりました。相談を受けたABBは、早速組み立てデモなどを実施し実現性を検証。光南が求める0.1mm水準の精度や適度な“押し付け”の作業に対応できるかがポイントでしたが、検証の結果、十分に対応できることがわかり導入に至っています。YuMiの場合、精度の高さはもちろん、パーツを押し付ける位置やその荷重の制御をプログラム上で細かく調整し保持できたことが評価されました。
実際に現場で立ち上げを進めるにあたって、いくつか問題が発生することもありました。その際には、現場のYuMiとPCをリモート接続し、リアルタイムで状況を確認しながらシミュレーションツール「RobotStudio®」などを介してプログラム補正を実施し、歩留まりを最大化してきたとのことです。
ロボットそのもののスペックの高さから、ABBのサポートの手厚さまでわかる好例です。