日本では少子高齢化が社会的な課題となっており、高齢化がさらに進めば医療のニーズがますます高まっていくことでしょう。医療のニーズと現場の労働力不足のギャップを解消するカギとして注目されているのが、協働ロボットの導入です。
協働ロボットメーカーの医療向けロボットの事例や医療機関における協働ロボットの活用について紹介します。
※引用元:youtube(https://www.youtube.com/watch?v=oyt_-SJL7Q0&t=16s)
ドイツのロボットメーカーKUKAが開発した医療用協働ロボット「LBR Med」は、各関節に高感度のトルクセンサーを搭載しているのが特徴です。それにより、医師との協働が可能な細やかな力加減や高い安全性を実現。LBR Medは2017年11月から日本市場に投入され、超音波や内視鏡検査、手術などでの活用が見込まれています。
※引用元:ユニバーサルロボット公式HP(https://www.universal-robots.com/ja/事例の紹介/toolcraft-inc/)
ワシントン州にある小さな機械工場では、生産体制を強化しようと医療機器の製造にユニバーサルロボットの協働ロボットを導入。簡単なプログラムで位置合わせを設定でき、CNCの固定具にぴったりとワークをセットすることが可能に。作業を自動化したことにより製造コストを23%削減できたほか、生産性の向上で年間の生産目標を7週間も前倒しで達成することに成功しています。
※引用元:youtube(https://www.youtube.com/watch?v=tXSgzffnYqQ)
HCIでは、2008年からロボットシステムの構築・製作に取り組んでおり、2017年からはAIシステムの研究・開発を開始しています。医療機関向けの協働ロボットとしては、ロボット・AIシステムを活用した病院の給食配膳システムおよび自動検温協働ロボットシステムを提供。自動検温協働ロボットシステムは協働ロボットの左手に非接触型の温度センサー、右手に開閉バーを取り付けたもので、来場者の体温が規定以下であれば入場バーが開く仕組みになっています。
世界各国の医療機関では、次のような領域で協働ロボットが活用されています。
手術支援ロボットで最も有名なのが、アメリカで開発された内視鏡下手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」です。ダ・ヴィンチによる世界各国の手術件数は2021年末時点で1,000万件(※)を超え、日本でも関東病院をはじめとした多くの病院で活用されています。
国内メーカーのメディカロイド社でも手術支援ロボットを開発しているほか、手術支援ロボット関連の技術として5Gを活用した遠隔手術や医師に触感をフィードバックする技術、AIによるナビゲーション技術が登場。新しい支援ロボットや技術の開発が進んでいることから、今後さらに手術支援ロボットの普及拡大が期待できるでしょう。
調剤ミスや人手不足を解消する切り札として注目されているのが、調剤支援ロボット・医療スタッフ業務支援ロボットです。どちらも医療従事者の負担軽減に役立つツールとなりえるほか、浮いた時間を服薬指導や患者さんのケアにあてることで、より質の高い医療サービスの安定的な提供が期待されています。
※参照元:オリックス・レンテック株式会社https://go.orixrentec.jp/rentecinsight/robot/article-60
協働ロボットメーカーは全世界で40社以上もあると言われており、どのメーカーを選べばいいのかは判断が難しいところです。特に手術支援を目的に協働ロボットを導入する場合、患者の命にもかかわるため、慎重に検討しなければいけません。
医療機関での導入実績や医療ロボットの開発実績、協働ロボットに求めるアームの長さや可搬重量、ロボットのタイプ、持ち運びやすさ(移動させたい場合)などを考えながら、メーカーを絞っていくと良いでしょう。また、安定して運用できるように、定期メンテナンスや故障時などのサポート体制も重要です。
医療現場は高度な機器やデジタル技術の活用によって大きな進化を遂げていることから、協働ロボットとの相性の良い土台がすでにつくられている業界と言えます。医療向けロボットは開発・導入の難易度の高さが課題になっているものの、海外に比べて医療・介護分野へのロボットの取り組みが活発に行われているため、医療向けロボットの今後の動向に注目です。
※引用元:Doosan Robotics公式HP(https://www.cobot-smx.jp/products/m0609.html)
※引用元:ユニバーサルロボット公式HP(https://www.universal-robots.com/ja/ユニバーサルロボットについて/ニュースセンター/ユニバーサルロボット-smc社の協働ロボット用真空グリッパユニットを-urplus製品として認証/)
※引用元:Techman Robot公式HP(https://www.tm-robot.com/ja/heavy-payload/)
※選出基準(調査時期:2021年7月、編集チーム調べ)
「性能」:汎用性の高さを維持できる100kg以下の協働ロボットのうち、最大可搬重量・最大リーチ数を誇っている点。
「シェア」:世界シェアNo.1※1の協働ロボットである点。
「簡易性」:カメラ内蔵型協働ロボットを世界で初めて開発※2し、視覚による操作性を実現した協働ロボットである点。
※1参照元:ロボットによる社会変革推進会議2019年調査[PDF](https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/robot_shakaihenkaku/pdf/20190724_report_01.pdf)
※2参照元:SSI公式HP(https://ssi-robot.co.jp/tm-robot/)